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奇妙な夢を見た [よしなしごと]

2010年1月2日 母は亡くなりました。享年八十九。

モガ1.JPG


 奇妙な夢を見た(2009.2.16)


先週2月14日土曜日の明方奇妙な夢を見て目が覚めた。
夢の中では、何故か懐かしい田園風景にポツンと佇む
日本髪の少女に近付くと、私の手を取りいきなり
握りしめてきた。かなり長い間、握って離さなかったのだ。
少女は、私の手を痛いほど強く握りながらほほ笑んでいた。
次第に、指の痛さが心地よくさえ感じられた。
夢の中で、私は、この少女は初対面ではないと確信したが、
いったい、いつ、どこで会ったのかは思い出せなかった。
うつらうつらと、このたおやかな時間がしばらく続けば
良いと思っていた。

16日月曜日通勤電車に揺られて車窓から外を眺めていたらふいに、
先週の12日木曜日の晩に千葉県本八幡の母のいる介護施設に
行ったことを思い出した。母は、パーキンソン病という難病を患っており、
もう右手しか動かないのだ。耳と頭はしっかりしているのに口も硬直し、
思うように意思表示ができない。言葉が聞こえない。
残念とか無念とかいう言葉はあるが、どんな言葉も当てはまらない。
わたくし達子供が会いに行くと、立ち去ってもらいたくないのだろう。
残念なのだろう。唯一利く右手で精一杯握って放してくれない。
時に、元気なころは見せたことのない口を尖らせて怒ったような、
駄々をこねているような悲しい目をして強く、強く握ってくるのだ。
いつもは、手を握られている時間がひどく長く感じられ正直辟易として、
早々に退散してくるのが常だった。
ところが、あの日の私は違っていた。
なぜか、飽きるまで、握らせていた。疲れて目を閉じるまで握らせていた。

ああ、あの夢の中の少女は母だったのか?車窓から過ぎ去る街並みを
眺めながら、そんなことを考えていたら、何年振りだろうか?
目から涙があふれ出してきて止まらなかった。
手にもった文庫本で顔を隠し終点上野に着くまでうつむいていた。

<娘のころ>

お澄みちゃん日本髪-娘時代-1.JPG



【レクイエムrequiem】
◆奇妙な夢を見た
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2011-03-02
◆父の買ってくれたブリキのロボット 
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2013-12-08
◆父の中国留学~戦後70年
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2015-08-15
◆父母の旅路(平成2年5月のフォトファイル)
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2016-10-29
◆希望~父母の新婚時代
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2018-07-06