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上野原スタンド・バイ・ミー(Stand by Me)最終章(VOL.2)~アフリカ篇 [昭和時代]

子供のころから兄弟のようなお付き合いをしてきた従兄の國夫さんは、2020年2月27日に亡くなった。2020年4月11日には生まれ故郷の上野原に納骨している。享年71。

アフリカには、再三行ったので奇妙な光景には何度となく遭遇したようだ。既述のゴルフに行くとき警官に銃口を突き付けられ、金品を奪われたのもエチオピアかどこかでのことだ。また、スーダンでは飛行機の中からジャングルにスーダン航空のジェット機が墜落しているのを見たと言っていた。ジャングルの中なので救援にも行けず放置されたままであったそうだ。國夫さんの話は別に話術がうまいわけではないが、情景がすぐ目に浮かぶのだ。

さて、南アフリカは、1994年までアパルトヘイトと呼ばれる有色人種に対する人種差別で知られ、同年4月ネルソン・マンデラ議長が大統領に就任、人種差別が撤廃された。
國夫さんはその人種差別が撤廃される以前の南アフリカでトラックを販売していた。南アでその時代日本人は「準白人」として白人に準ずる扱いを受けていた。
ある日、地元企業の工場を視察していた時に、尿意を催し、その企業の白人担当者にトイレに行きたい旨告げた。近くに発見したトイレがあり、行こうとしたら、黒人専用のトイレで使ってはいけないと強く押しとどめられた。
しばらくは我慢していたが、結局、制止を振り切って黒人用トイレに行き、事なきを得た。
國夫さんは、そういうことを、杓子定規にならずいとも簡単にできる人だった。

今や、南アフリカはゲイリー・プレイヤーやアーニー・エルスといった歴史にその名を刻む世界的ゴルファーを数多く輩出するゴルフ王国と言われるが、「準白人」のいかにも東洋人の風体の國夫さんもきっと名門ゴルフ場でのどかにゴルフを楽しんでいたに違いない。

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《キャディーが3人》
最近の日本のゴルフは、アメリカ並みにキャディーなしの、セルフ中心となったが、大昔はキャディーがつくのが当たり前、それでも4人1組としても1人のキャディーであった。
國夫さんは、南アフリカでゴルフをするときは、キャディー(黒人)が3人もついてきたそうだ。
間違いなくOB性のあたりで、一度、林の中にでも入れると、バックを持つキャディー以外の2人が林の中に素早く入り、見つけ出す。OBであろうと、必ず白杭から内側のセーフの位置にボールを置きなおし、「マスター(旧英国領です)、ここにあります」といわれたそうだ。「彼らはチップが欲しいのだよ」と楽しそうに笑っていた。
(注)OBはアウトオブバウンズ(Out of Bounds)の略である。プレーが出来る区域外のことを意味する 白杭と白杭を結んだ線から外だと OBとなって、内側はセーフ。OBは 1打罰で もう一度打席一から打ち直しで実質 2打の損失になる。

《池ポチャ狙いのボール争奪戦》
アフリカのゴルフでよく聞かされたのは、地元の貧しい少年が、池越えのコースなどでゴルファーが失敗して池ポチャするボールをとろうと、思い思いの布製グラブを作って、池に入っていた話である。國夫さんはその彼らの頭上を取られないようにティーショットを打っていた。
当初は、危ないので、何故どけないのかいぶかしく思ったが、どかない。次第にわかったのは、貧しい彼らにとって、ゴルフボールは高価で、ゴルフ場としても暗黙の了解で池ポチャで取得したボールは彼らのものとし、買い取り、ロストボールで販売する仕組みだったらしい。

◎こんな感じ?

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<同じ光景>
自分は2006年8月に中国杭州を旅行したが、フーチュンリゾート(富春山居)に宿泊した。北京オリンピック前でそこら中工事中だったが、フーチュンリゾートに一度入ると、その中は静寂そのもので、目の前が美しいゴルフ場だった。当時はゴルフをしているのは日本人が中心であったが、朝、レストランから湖の対岸のゴルフ場を眺めていると、日本人と思しきゴルファーが1人おり、女性のキャディーが3人、ボールをティーにセットするのも、キャディーが行っていた。王侯貴族のようなゴルフだが、ボールは貴重品で、コースを外れ畑の方に入ると、取りにいかないルールになっていると聞いた。作業員などが拾いゴルフ場が買い取りロストボールで販売される。
そういえば、國夫さんも中国の杭州は何度か仕事で行っており、このフーチュンリゾート(富春山居)でゴルフをしたことがあると言っていたのを思い出した。

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