SSブログ

マドリードのラス・ベンタス闘牛場 に闘牛を見に行った [タイムスリップ]

1993年8月30日マドリードにあるラス・ベンタス闘牛場 (Plaza de Toros de Las Ventas)に闘牛を見に行った。スペインでは最大級の闘牛場だ。
当時日本円にして5000円/2人くらい?の日陰席(5000ペセタだったので、かなり高い席だったらしい。ソンブラ:特等席)に座った。真正面の1300円/人位の日向席(ソル:大衆席)と比べ何ゆえ高いのかと言うと、席がゆったりしているほかに、日陰で日が当らず暑くないからであった。スペインの夏は、午後9時過ぎまで明るいし、日差しも結構強い。
 私たちは、座布団を借りて着席したが、日向席がエリアによって満席なのに日陰席にはお客はちらほらいるだけであった。
やがて、日陰席にいるアメリカ人観光客の老夫婦が隣に来て話しかけてきた。わたくし達夫婦が日本人であることを確かめ、ご主人が、沖縄から出撃した朝鮮戦争のことを話し始めた。止まらない。もちろん日本にも何年か駐留していたらしくとても懐かしそうだったのを覚えている。血沸き肉躍ったのかも知れない。そのアメリカ人の老人とお話をしているうちにいよいよ闘牛が始まった。


闘牛のルールと言うか、しきたりや、各プレイヤーの役割は明確にはわからなかったが、ラッパのファンファーレとともに隊列を組んでの場内一周が始まった。

《隊列を組んでご挨拶》

3-1ラスベンダス闘牛場_0003.jpg


主な闘牛スタッフの役割は以下の通り。
①助手、バンデリジェーロ (Banderillero):何人かで色紙に飾られたBanderilla(短銛)を闘牛の背中に刺す

②槍士 (Picador) :2人ぐらいいた。(正確には、2人と2頭の馬)役割は馬上から牛の肩の瘤に槍を突き刺し牛を弱らせ、頭を下げさせる。馬の両脇は、無圧ふとんのような文様の防護マットで覆われており中世の昔を思い起こさせる異様な感じ。
牛が突きかかってきても、おされながらも、ただただ槍を突き刺す。

3-1ラスベンダス闘牛場_0004.jpg


③正闘牛士 (Matador) :赤いフランネル製の布ムレータを持って登場する。「よ!千両役者」というところである。演技中にバンドの生演奏が入る。主役であり、牛に止めを刺す闘牛士だ。
その他のスタッフもいるが、省略。

これらが、儀式に則り闘牛をよってたかって、翻弄させながら追い詰めていく。ヨレヨレの牛を見事一撃でとどめを刺した闘牛士は、会長(相撲協会理事長みたいな)から牛の耳を切り取ることを認められ、それを掲げ、興奮する観衆の歓声にこたえるため場内を一周する。しかし、一流の闘牛士が出てくるのは相撲と同じで最後のほうである。(斃された牛は、高い値段で売れるそうで、いつか漫画で見たような姿で場内から引きずられて退場していく。)

《Matadorと闘牛》

3-1ラスベンダス闘牛場_0008.jpg



3-1ラスベンダス闘牛場_0001.jpg


以上の儀式を延々と繰り返すのである。最初は、残酷な血なまぐささと言うか、肉食人種の独特の体臭を無理やり嗅がされた様な気分になり、ちょっとすっきりしないまま重い時間が過ぎた。儀式の中の儀式というか、延々続けられる儀式の繰り返しが徐々に厳かさに変わっていくのを感じた。様式美の美しさを感ぜずにはいられなかった。時折、一撃でとどめをさす正闘牛士 (Matador)がいて、否が応でも場内は興奮に包まれる。
見始めて2時間弱、これからというところで、残酷さに圧倒されたのか同伴者が悪感がしてダウンしたため、ラス・ベンタス闘牛場を出てデパートにセーターを買いに行った。セーターを買ったのは、あとからわかったのだが、まだ世界では無名だったZARAだったとずいぶん経ってから同伴者に聞いた。
★なお、闘牛のシーズンは、毎年3月から10月まで。


《チケット》~確かホテルのフロントで手配してくれました。多少高いかも知れませんが、余りせこいこと考えない方が良いです。行き方から入り方まで説明してくれて、安全が買えるのですから。

3-1ラスベンダス闘牛場チケット.jpg


《交通》
マドリード地下鉄の2号線または5号線を利用する。最寄はVentas(ベンタス)駅。駅から地上に出たらレンガ造りの建物ですぐわかります。いろいろ人が話しかけてくるけどわからないふりして無視しましょう。


【関連記事】

◆アルハンブラで終日遊ぶ~1993年9月飛行機でスペイングラナダ゙に行った
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2013-04-05

◆スペインの大平原を電車に乗ってセゴビア(Segovia)に行った。-1993年8月
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2013-04-02

◆マドリードの日々~1993年8月
https://sodaxpiee.blog.ss-blog.jp/2013-09-07